本記事では、以下の命題を示します :
命題. κ を正則基数とし、(C,J) を κ-small site とする。
このとき、層の圏 Shv(C,J) は κ-presentable category である。
ここで、site (C,J) が κ-small であるとは、C が κ-small であること、すなわち C が small でありかつ ∣Mor(C)∣<κ となることをいいます。
また、κ-presentable category は locally κ-presentable category と呼ばれることもあります。
以下、次の記法を固定します :
-
κ を正則基数とする。
-
(C,J) を κ-small site とする。
-
small category D に対して、P(D) を D 上の前層圏とし、よ:D→P(D) を米田埋込とする。
-
ι:Shv(C,J)↪P(C) を包含関手とする。
いま C が small だから ι は左随伴(層化関手)をもち、それを
L:P(C)→Shv(C,J)
で表す。
-
正則基数 λ と圏 D に対して、D の λ-compact object 全体のなす D の充満部分圏を Dλ で表す。
まず、証明で用いる一般的な補題を用意しておきます :
補題 1. λ を無限基数とし、D を圏とする。
このとき、D の λ-compact object の λ-small colimit は再び λ-compact である。
証明の概略 : Set において λ-filtered colimit と λ-small limit が交換することからしたがう。
補題 2. λ を正則基数とし、D を圏とする。
このとき、D における任意の small colimit は、λ-small colimit の λ-filtered colimit として表せる。
証明の概略 : small category の λ-small subcategory 全体の集合に包含関係により順序を入れてできる順序集合は、λ の正則性から λ-directed になる(すなわち、濃度が λ 未満の任意の部分集合の上界が存在する)。
これを用いればよい。
次の主張 A から命題がしたがうことを示します :
主張 A. 合成 CL∘よShv(C,J) の essential image は Shv(C,J)κ に含まれる。
主張 A ⇒ 命題 : Shv(C,J) は locally small cocomplete category P(C) の reflective subcategory だから、同じく locally small cocomplete である。
よって、あとは Shv(C,J) を κ-filtered colimit で生成する Shv(C,J) の κ-compact object の集合が存在すればよい。
- 主張 A と補題 1 を合わせると、Lよ(U) という形の対象たちの Shv(C,J) における κ-small colimit は κ-compact だとわかる。
- F∈Shv(C,J) なら F≅Lι(F) で、ι(F) は P(C) において よ(U) たちの small colimit で表せるから、F は Shv(C,J) において Lよ(U) たちの small colimit で表せる。
- 以上の議論 1, 2 と補題 2 を合わせると、F は Shv(C,J) において κ-compact object の κ-filtered colimit で表されることがわかる。
- C は small だから、Lよ(U) という形の対象たちの Shv(C,J) における κ-small colimit として得られる対象全体のなす Shv(C,J) の充満部分圏は essentially small である。
よって、3 より Shv(C,J) は κ-presentable である。
以下、上の主張 A を示します。
ここまでは、C が small なことは用いましたが、κ-small であることは用いていませんでした。
ここでその仮定を使うことになります。
すなわち、上の主張 A は、C のサイズで representable の sheafification の “サイズ” を評価できると言っているのだと解釈できます。
復習 (sheaf condition). F∈P(C) が Shv(C,J) に属することは、F が次の条件をみたすことと同値である : 任意の U∈C と U 上の任意の covering sieve C/U(0)∈J(U) に対して、よ(U) の subobject i:S↪よ(U) を
S(V):={(V→U)∈C/U(0)}⊆(よ(U))(V)
により定めたとき、i との合成により定まる写像
HomP(C)(よ(U),F)i∗HomP(C)(S,F)inSet
が全単射になる。
補題 3. 上の復習の状況において、
S≅(V→U)∈C/U(0)colimよ(V)inP(C)
が成り立つ。
すなわち、S は合成
C/U(0)⊆C/UforgetCよP(C)
の colimit である。
証明 : C が small だから covering sieve C/U(0) も small であり、よって補題の主張の colimit は存在することに注意する。
米田の補題と colimit の普遍性より canonical な射
(V→U)∈C/U(0)colimよ(V)→SinP(C)
が得られる。
これが同型射であることを示すには、各点で全単射なことを言えばよい。全射性も単射性も直接愚直に示せる。
主張 A の証明 :
- 随伴 L⊣ι と米田の補題より、Shv(C,J) において κ-filtered colimit が pointwise に計算できることを示せばよいことがわかる。
それには、図式を ι で移して P(C) で colimit をとったとき、それが sheaf condition をみたすことを示せばよい。
- 上で復習した sheaf condition の F に sheaf たちの P(C) における κ-filtered colimit を当てはめると、1 の主張を示すには S が P(C) の κ-compact object ならよいことがわかる。
- C が κ-small だから、補題 3 の S を表す colimit は κ-small colimit である。
各 よ(V) は P(C) の κ-compact object だから、補題 1 より S も P(C) の κ-compact object である。
最後に、命題からしたがう系を述べておきます :
系. κ を正則基数とする。
位相空間 X が濃度 κ 未満の開基をもてば、X 上の層の圏 Shv(X) は κ-presentable である。
系. 位相空間 X が第二可算であれば、Shv(X) は ℵ1-presentable である。